座員は４人。 紹介しようね（と、傍らの人形を一人ひとり紹介する）。 右から、チェリー。白雪姫になったり、赤頭巾になったり、女子大生になったり、 まあ、若い娘一般を引き受けているのがこの女。 次がシナモン。盗賊になったり、王子様になったり、アイドル歌手になったり、 とりあえず若い男ならこいつの出番。 その次がライム博士。じいさんだけど、たまにばあさんの役もする。 悪者には向かない顔だから、ぼんやり老人かおひとよしの役しかできないけどね。 最後がマダム・ラベンダー。魔女にも、意地悪お后にも、噂好きの中年女にもなる。 口うるさいおばさんさ。 まあ、４人もいれば、なんだって物語は作れてしまうってわけだ。 外でやるときには、ワゴン車がそのまま芝居小屋に変わる。 テントを作ったり、小屋を借りたりする手間もいらない。 　　 みみずく町か。変な名前だ。ほんとになんにもありゃしない。 なんでマリーさんはこんなところに私を呼んだりしたんだろうって、思ったよ。 最初はね。 　　 マリーさんとは、 ８年ほど前に、カーニバルのショーで出合った。 マリーさんがキャバレーみみずくをはじめる、ずっと前のこと。 あの人はとても若くてきれいな、売れっ子の歌い手だった。 私は人形相手のギニョール芝居をはじめたばかり。 それからもひょんな所で偶然会ったりして…。 （笑）おたがいやばい橋を渡っていたからね。 いろんな話をしたわね、あの人とは。 なんだか気があった。 どちらも世間からのはずれ者。
	（ナナ、フェードアウトして、マリー登場する。 　マリーの詩、あるいは誌のような歌が始まる）
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