アタシはキラ。 嫌われ者のキラじゃない。 キラキラひかるのキラだ。 　　 一緒に暮らしていたおじいちゃんがつけてくれた名前。 「キラ、お前の目はキラキラの星だ」 おじいちゃんはいつも言ってた。 「それも生まれたばかりの青い星だ。ほれ、わしの目を見ろ」 おじいちゃんは自分の目を指差して言う。 「黒いところがにごっている。白いところは赤くなっている。血の色さ。 こうなりゃ、もうおしまいだ」 おじいちゃんは悲しそうな目になる。 おしまいは、終わりってことだ。 キラがお皿いっぱいのご飯をみんな食べてしまってもまだ足りなくて、 うらめしそうにおじいちゃんの顔をみると、おじいちゃんは決まって言った。 「もう、これでおしまいだぞ」 アタシはおしまいが嫌いだ。 だから、最後のひとくちは、食べないで残しておく。 そうすると、お皿はいつまでもキラの目の前にある。 最後のひとつって、すごく大事だと思う。 それがあるから、いつまでも楽しいことが続くような気がする。 最後のひとつ。 でも、結局がまんできなくなって、食べてしまうんだけど。 すると、おじいちゃんはにやっと笑って言う。 「また、明日」って。 また明日ってことは、おしまいじゃないってことなんだ。
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アタシとおじいちゃんは、電車に乗ってこの町にやってきた。 アタシは古ぼけたバスケットに押し込まれて、 すき間からずっと窓の景色をみていた。 いくつもの駅を通り、トンネルをいくつもくぐって、 やっと、たどり着いた町。 ここは、おじいちゃんの生まれた町だ。 「やっと着いた。みみずく町だよ。知り合いなんて、もう誰も生きちゃいないんだけどな」 それでも、おじいちゃんはここに帰りたかったんだ。
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