みみずく町。 アタシは思いっきり伸びをして、町の空気を吸い込んだ。 今日からここで暮すんだ。 でも、病気のおじいちゃんにとっては、長い長い道のりだった。 だから、駅についたとたん、おじいちゃんは動くことが出来ないくらいに疲れてしまったんだ。 　　 アタシとおじいちゃんは駅のベンチに坐ってた。 すると、男の人がやってきた。 「どうしましたか？」 おじいちゃんが答えた。 「疲れちまって、もう動けないんだ」 親切な男の人は駅長さんだった。 駅長さんは、おじいちゃんを自分の部屋に連れて行って、寝かせてくれた。 「黒猫ちゃんにはミルクだ」 アタシは黒猫なんて名前じゃない。 アタシはキラだって、この人に言って。 でも、おじいちゃんは何も言わない。 アタシはおなかが空いていたのでミルクを全部飲みたかったけど、 最後の一口を残して、またおじいちゃんを見た。 おじいちゃんはもう眠ってる。 「飲まないのか？」 駅長さんはそういって、お皿を持っていってしまった。 アタシはおじいちゃんが「また明日」っていうのを聞きたかったのに。 おじいちゃんは何も言わない。
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