私はまひる。ひなたまひる。ぴかぴかの太陽みたいな名前だ。 ひなたさんは、私を仕込んで、ゆくゆくは自分の面倒を見させるつもりだった。 でも、ひなたさんは、事故で死んだ。 二年前、 運転免許を取ったばかりの私は、ひなたさんを乗せて走っていた。 車はがけから落ち、私は助かり、ひなたさんは、亡くなった。 引き取られて１０年目。私の２０歳の誕生日だった。
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今では私がこのビルのオーナーだ。 ビルの他にもひなたさんから引き継いだ土地や財産もある。 天涯孤独のひなたさんには、うるさく言う親類縁者もいない。 私は引き取られてからずっと、お金の管理や、ビルに関するいろんなことを、 ひなたさんから教えられ、勉強してきた。 私はひなたさんの思惑通り、 かしこくて機転がきいてよく働く大人になった。 残念なことに、素直にもやさしくもならなかったが、 そんなことは、一人で生きていくのにじゃまになるだけだ。 私は誰よりもよく働く。 このビルの経営から掃除まで、 私は、たったひとりでこなしている。 　　 みみずくビルは、四階建ての小さなビルだ。 一階がキャバレーみみずく。 二階と三階がアパート。 そして四階というか屋根裏が私の部屋になっている。 ひなたさんが生きていた頃は、三階はひなたさんの部屋だった。 亡くなってから、いろんな人が出たり入ったりしている。
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