あの子の部屋は、あのビルの一番上。 部屋の窓には、黄色いカーテンがかかっている。 そういえば、あの子はよく黄色いお洋服を着ている。 黄色は太陽の色。 まひるの色だ。 　　 その下は、もとはひなたさんの部屋だった。 近頃は、いろんな人がやってきては出て行く。 また違う人がやってきたみたい。 裸だった窓に、緑のカーテンがかかっている。 この間、窓から女の人が顔を出していた。 それから人形も！ 人形も女の人もとてもカラフル。 　　 でも、私が一番好きなのは、二階の部屋。 赤いカーテンがかかっている。 あの部屋が、ここからは一番よく見える。 私と、同じ高さで向かい合っているから。 　　 朝、眠そうな目をした二人が顔を出す。 二人で並んで空を見る。 それから、私を見る。 目と目があう。 なんだかうれしい。 あの人たちは、私のことが、きっと好き。 部屋からは、時々、音楽が聞こえてくる。
	（ここで、トントのギターの音がぽろんと入る）
私は音楽が好き。 音楽は私を遠い昔に連れて行ってくれる。 私は、私がきれいだった頃のことを思い出す。 愛しい人が、まだそばにいた、あの頃のことを…。
	（まど、フェードアウトしてトントのギター演奏）
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