なんだろう、あの人形たち。 ナナは、おかしな人で、人形を使って私に話しかけたりする。 あの女はつっけんどうないやな女だけど、人形たちは人懐っこい。 人形たちに話しかけられると、私はつい気を許して、思ってもいないことを口にしてしまう。 この間も人形たちにお茶に誘われて、ナナの部屋で長い時間を過ごしてしまった。 ナナは私の手に人形を押し付けた。 「ほら、こうすると、この子達がおしゃべりしだすよ」 ナナは人形たちをけしかけて、私にもいろんなことをしゃべらせる。 なんだろう、この気持ちは。 私は無駄なことなんて話したくないのに。 やらなくちゃいけない仕事がいっぱいあるのに。 ナナは笑っている。 「まひるも笑わなくちゃ。お日様みたいに。きっと、あんたの親はそういう気持で、その名前を付けたんだよ」 私の親？ どうしてそんなことを云うの？ そんな人のことは忘れたと云ってるのに。 　　 ナナが笑顔で私を見ている。 人形たちも私を見ている。 ねえ、みんな、なにがそんなに楽しいの？
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