（ここからしばらくは本を見ずにラベンダーとシナモンを手に語る）
この部屋、マダム・ラベンダー、どう思う？
（ラベンダーの声で）		「古いけど、住み心地はいいわね。ナナ、ちゃんと掃除しなくちゃだめよ。あんたって散らかし放題なんだから。」
まひるみたいに毎日掃除ばっかりしてられないわよ。
（ラベンダー）		「あの子はよく働くわ。若いのに感心」
ぎすぎすしちゃって、感じ悪い。
（シナモン）		「あの子、なんだか、暗い目をしてるね。働いてばかりで、遊ぶことを知らないんじゃないかな」
でも、このビルのオーナーなのよ。貧乏暮らしとは縁がないだけでも、私の若い頃よりは幸せよ。
（シナモン）		「人を幸せにするのは、お金だけじゃない。ナナは若い頃、好きなことが出来て、幸せだっただろ」
ふん、知ったかぶりして、あなた、私の若い頃なんて知らないじゃないの。あなたたちと私は知り合って、まだ１０年よ。
（ラベンダー）		「私たちはいつまでも年をとらないけど、１０年のうちにナナは老けたわね」
お言葉ですが、あんたたちだって、そのうち、ぼろぼろになるんだから。まあ、その時は塗りなおせばいいんだ。いいねえ、人形は（と、人形を置く）。
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